TSF代表者の草野は1975年システム科学コンサルタンツ株式会社を創設し、それ以来一貫してODA分野における国際コンサルタンツとして主に政府開発援助(ODA)分野で活動してきた。システム科学コンサルタンツ株式会社(SSC)は、現在、海外事業における国際コンサルテイング業務各分野のプロフェッショナルを抱え、我が国10指に入る海外コンサルタンツ会社である。
そのコンサルテイングの基本理念は「ソフト主導型で調査・計画・設計・施工監理・運営監理を一貫して実施できる総合コンサルタンツ」である。我が国において、SSCは海外エンジニアリングを開発の基本として始まった政府開発援助(ODA)にソフト主導のアプローチを導入した先駆的企業である。
欧米各国では、このソフト主導による国際協力・開発手法は国際コンサルテイング・ノウハウとして長い歴史の中で培われたものである。我が国では、近年になって、ようやくその価値が認められてきた。新世紀はソフト分野からさらに一歩進んで、世界各国の文化を通じて生まれる自主的な開発と環境保全の時代に入りつつある。新世紀は、これまでの“経済”協力および“技術”協力というODAの枠を越えて、国際“文化”協力をも活動の視野に入れ、途上国が貧困から脱却することを支える新時代に突入しつつある。
この文化に光を当てた国際協力手法は必ずや経済協力および技術協力の根幹となるべき国際協調および途上国による持続的開発能力を生み出す力となるであろう。即ち、人間の内なるパワーを引き出す伝統的な芸術・文化に焦点をあてた国際協力方式である。この方式をODAに導入することにより、国際協力の新しい芽を掘り起こすことができる。この点に着目したのが新会社“国境なき大地”社(TSF)である。
国際協力コンサルテイング業務を実施する過程で、SSCは「途上国の貧しい人達が、自立し、自主性をもって開発と環境保全の担い手になるためには、彼らの内面に潜むエネルギーとそれを外に発信する機会を知覚させることである」という認識を新たにしている。
草野を始めとする文化協力に関心のあるアーテイスト達は、国際文化協力という観点から協力相手国において数多くのチャリテイー公演を実現させてきた。
草野は、我が国で最も優れた世界的フラメンコ舞踊手である小島章司の一番弟子であり、国際協力コンサルンタントとは別の顔を持っている。海外には必ずフラメンコ・シューズを持って行き、スタジオ、街路、コンクリート・タイルの庭・テニスコート、人がほとんどは入っていない高層マンション、全く車が来ない深夜のハイウエイ、旱魃で固まった土等、そこで与えられた環境で自らフラメンコの練習を行い演じてきた。大自然に向かい、孤独との戦いを踊りにぶつけてきたのである。踊っていると、たくさんの老若男女が集まってくる。異なった宗教グループ、通常は顔を見せない女性達、カーストの異なった階層、政治経済面で孤立した少数民族、父親が教育スポーツ大臣であるイスラムのモダン・ダンサー等、経済・技術協力の表玄関ではなかなか知りえない人達と直接触れ合うことになった。
こういった人達との文化的な交流を通じて、それぞれの国家社会を支える原点にある潜在的な文化的土壌を強く意識するようになった。この感覚の延長上にいつの間にかチャリテイー公演という形式が生まれたのである。国際的NGOと共催という形で、このチャリテイー公演をおこなったのである。その収益金は全て、ストリート・チルドレン、難病を抱えた子供達のための活動支援基金となった。また、この公演開催にあたって生まれたもうひとつの収穫は、政治的な対立の枠を越えて多くの人々が公演準備および協賛という形でチャリテイー・ショーの裏方として参加し協力を惜しまなかったことである。特に貧困層から富裕層まであらゆる階層の人が舞台公演を通じて共通の空間および時間を共有できたことにより、自然に文化交流事業というは発想が生まれてきたのである。このコンセプトを実演するために「国境なき大地」(TSF)なる組織が誕生したのである。TSFの前進であるボランテイア活動を実施してきたグループの海外におけるチャリテイー公演の主なものは以下の通り。
@ ホンデユラス国首都テグシガルパ(1994年):ホンデユラス在日本大使主催による同国副大統領、各省大臣・各国大使を招待してのフラメンコ・フェステイバル開催
A ボリビア国サンタクルス(1993年、1995年、2002年):サンタクルス日系人と国際NGO共催によるストリート・チュルドレンのためのチャリテイー・ショー開催(フラメンコとラテンヒーリング)
B ネパール国首都カトマンズ(1999年):ネパール国王族およびラナ一族主催によるチャリテイー・ショー開催(フラメンコとネパール民族音楽共演による)
TSFの主要メンバーは新進気鋭のピアニスト、フラメンコ・ギタリスト、そして海外で共演した演奏家達である。彼らは、国境及び音楽の壁を超えて新しいジャンルの音楽世界を創出しようとしている。その拠点は必ずしも日本では無い。スペイン、ドイツ、キューバなどに世界のさまざまな国で世界中の演奏家達と共演して入る。しかし、彼らの活動が日本のマスコミや多くの人々の目にとまる機会はほとんど無い。草野と彼らは国境なき大地、時間および空間を共有することで、自分達の旅をすることに決めた。
TSFメンバーは、海外のODAの現場において大自然、異種文化と触れ合いながらチャリテイー公演にそのエネルギーを注ぎ込んだのである。その公演で奏でられる音色はアーテイストの心の奥深くから醸し出され、暦という時間や空間を超えて溢れ出す響きがあった。
TSFの若きアーテイスト達による文化交流は、これからの新しい時代を支える国際交流の柱となるものである。世界はかなり早いスピードでグローバル化に向かって入る。その動きが、カネと利権を求める弱肉強食の武器として使われないよう、国境という壁を超えた異国・異宗教・異階層文化の理解に結び付け、自由で平和な世界を作ることが大切である。このようなことを感じる若者の多くが、知恵を出し合って「国境なき大地」(Tierra sin Fronteras)が生まれたのである。
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